午後3時頃、新宿三丁目の寿司屋に入った。最後に寄ったのはもう三年以上前だ。以前は新宿三丁目が勤務地だったのだ。入店してみると、客は僕一人だった。カウンター席、板前さん、板長さんだと思うが...、の正面に座る。懐かしい顔だ。この店にはよくお邪魔していたのだが、他の客の手前もあり、当時は店の人とそんなに言葉を交わさなかった。
寿司に箸をつける段になって、板前さんがひと言、久しぶりですね、と言った。僕は驚いて、自分を覚えているのかと聞き返した。そりゃあ忘れませんよ、と、さも当然といった答え。僕が義足をまだ履いていなかったことも覚えていて、入店したときから気になっていたのだという。僕は感心して、そしてとても嬉しくなった。
その後からは、その板前さんと色々話しをした。店が35年も続いていて、新宿という街の移り変わりを見てきたこと。僕は、最近命を落としかけ、それがもとで義足になったことを話した。僕が店にいる間に他の客は来なかったので、ただ寿司と会話を楽しんで、よい気分のまま店を出た。
僕は余韻を味わいつつ家路についた。日々の暮らしの中での人との触れ合いが、僕の心を和ませるのだ。